物体において、より大きな抵抗を生むためには一般的に通気性のないものが良いとされています。一方、バドミントンのシャトルコックは、羽根付け根部に隙間構造を持ちますが、時速400 kmをも超えるスマッシュ後に急激に減速して相手コートへ飛んでいくことから、非常に高い減速特性を持っています(参照:バドミントンシャトルコックの空力特性)。すなわち、大きな抵抗を得るためには必ずしも通気性がないものが良いとは限らないのです。
そこで、本研究では隙間構造の有無および隙間形状の違いによって、抗力特性にどのような影響を及ぼすのかを研究しています。
本研究では図1に示す隙間構造の異なる3種類の模型を、実験用水槽や風洞を用いた測定実験によって比較することで、隙間構造の有無、形状、配置の違いが抗力特性に与える影響を調査します。また模型の周りの渦構造および後流構造を可視化することで、隙間構造が抗力特性を変化させるメカニズムを考察します。
図1 実験模型
より大きな抵抗を得られる物体構造が解明されれば、高効率の発電機構や減速機構の開発が期待できます。減速機構の面では、例えば大気圏再突入カプセルや飛行機といった航空宇宙分野、高速で走行する新幹線などの輸送機関の安全対策の分野など、高減速機構を必要とする幅広い分野での活用ができると考えられます。
2024.7.21 鈴木湧人君 受賞
鈴木湧人君(博士前期課程)が,ベストプレゼンテーション賞を受賞しました。