タンポポは、野を吹き渡る風によって種子を遠方に分散させるため、その形態は気流との相互作用において最大の抗力(浮遊性能)を発生し得る構造として進化したといえます。 一般に浮遊的飛行において、抗力(抵抗)を増大させて浮遊性能を向上させるには、膜や板状構造で流れに対する物体の投影面積を大きくし流れを妨げること(例えばパラシュート)が重要だと考えられています。しかし、空中を長期間、長距離浮遊できるタンポポ種子は、冠毛と呼ばれるスケスケの綿状構造体に吊るされふわふわと空中を浮遊します。 これまでの研究で,冠毛の後流の流れを可視化すると,後流には渦輪が生成されることがわかりました.この渦輪によりタンポポは長距離の飛行をしていると考えられています. しかし,後流に渦輪が生成される直接的な要因やその渦輪が長距離の飛行にどのように関与しているか,明らかになっていないことが多くあります. そこで,冠毛の隙間構造が生み出す渦輪や大抵抗空力特性のメカニズムを解明し,無動力かつ静粛性に優れた驚異的に長い距離を飛行できる空中移動特性の優れた小型飛行体を実現するための基礎研究を行います.
センサーを搭載し,農薬散布や編隊飛行での空中サンプリングで大気汚染物質の分析やモニタリングに活用できる新しい飛行体が期待できます.
2024.7.21 鈴木湧人君 受賞
鈴木湧人君(博士前期課程)が,ベストプレゼンテーション賞を受賞しました。