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宇都宮大学
流体工学研究室

研究紹介Research activities

縦渦発生装置を用いたはく離制御

1.研究背景

 現在の航空機は、ある角度以上では飛行できません。これは、航空機の翼には、ある角度になると揚力を失ってしまう失速角が存在するためです。失速角に達し揚力を失う原因のひとつとして、翼面上での流れのはく離が挙げられます。

 私たちの研究は、この
はく離の抑制を目的としています。


図1.VG(Vortex Generator)


 現在の航空機翼には、図1のような
VG(Vortex Generator)と呼ばれるはく離制御装置が使用されています。これは翼に突起物を取り付け、主流との干渉で突起物下流側に縦渦を発生することではく離制御を実現します。VGは単純構造かつ低コストな制御装置という利点があります。しかし、流れの変化に対応はできず、制御装置が常に流れにさらされているため、はく離制御が不要な飛行状況では逆に抵抗となり、燃費が悪くなったり悪影響を及ぼすこともあります。

 これに変わる装置として、VGJs(Vortex Generator Jets)があります。VGJsは翼上に開けられた数個の穴から、ジェット(空気)を吹出すことによってVGと同様な縦渦を発生させることが可能な装置です。しかし、VGとは違い翼面上に突起物を取り付ける必要がないため、はく離制御が不要な飛行状況ではジェットの吹出しを停止することで、制御装置が引き起こす不要な抵抗を一切排除できます。また、はく離の程度により、ジェットの吹出しを変化させ発生する縦渦の強さを調整できます。つまり、時間的に変化する流れに対しても効率良く最適な制御が可能となります。

 近年微小なスケールのデバイスを用いた動的な流体制御手法が盛んに研究されており、その一つとしてシンセティックジェットがあります。私たちは、このシンセティックジェットを用いたはく離制御について研究しています。

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  図2.シンセティックジェットを用いたはく離制御


2.シンセティックジェットとは?

 下図の図2にシンセティックジェットのイメージ図を示します。シンセティックジェットはスピーカーや圧電振動板を振動させ、キャビティ下面の壁面が上下に変動することによって、オリフィス出口で渦を発生させる装置です。吹出し口から流出する正味の流量は0ですが、外部に正の運動量を持つ噴流を生じさせます。壁面の駆動装置は圧電素子やピストン、スピーカーなどが用いられます。


図3.シンセティックジェットのイメージ図 


3.シンセティックジェットのメリット

 シンセティックジェットは簡易な装置しか必要としないため、従来用いられている定常ジェットやパルスジェットなどと比べると、小型化が容易です。そのため、近年注目を集めている小型無人飛行機や回転翼機、自動車など様々な実機への搭載が期待されます。

宇都宮大学 流体工学研究室

〒321-8585
栃木県宇都宮市陽東7-1-2

お知らせ

2023.4.6 新4年生配属


今年度は4年生が新たに8人配属になりました。

2021.3.10 高久湧斗君 受賞


高久湧斗君(博士前期課程)が,若手優秀講演賞を受賞しました。

2019.12.17 成田洸杜君 受賞


成田洸杜君(博士後期課程)が、Best Paper Runner-Up Awardを受賞しました。

新着情報

2023.7.3

HPを更新しました。