群知能ロボットシステム,ヒューマンロボットインタラクション,人工知能,産業応用,自動化,最適化,生産システムなど

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研究内容


宇大着任以降

双腕ロボットに対するTeaching Playbackシステム(2017年~)

2017年の夏,当研究室にやって来ました,カワダロボティクスの双腕ロボットNEXTAGEです.15自由度あり,かなり高精度に両腕を動かすことができます.そこで,我々はこのロボットに人間の巧みな動きをマネさせたいと考えています.このようなロボットを産業現場へ導入し労働者の作業を遠隔地でもマネすることができれば,労働人口減少問題の解決につながるのではないでしょうか.

我々は,このロボットによる人間の動きをマネさせるための手段として,VR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)技術を通じたTeaching Playbackシステムに着目しています.人が没入感を持ちながら動きをロボットに教え(Teaching),ロボットはその時の関節角度とセンサデータを記憶し,教えられた作業を再現(Playback)するシステムです.まだ始まったばかりの研究です.無限の可能性へ向け一緒にチャレンジしませんか?

深層学習に基づいたロボットビジョンシステム(2015年~)

ロボットが自律して動くためには,周囲の環境の計測および認識・識別が重要な技術となります.後者の認識・識別に関して,近年,深層学習(Deep Learning)が技術的なブレークスルーとして注目を集めています.そこで,ロボットのビジョンシステムとしてこの深層学習を用いた研究に取り組んでいます.

左の写真中にあるステレオカメラにより取得された映像中の特徴量をCNN(Convolutional Neural Network)に入力することで,人の検出およびその動作(クラス)の認識・識別(分類)に成功しています.人を検出するとそこへ赤枠が表示され,人の動作が認識・識別されるとそれが出力されるようになっています.

従来技術では,例えば画像中のHOG(Histogram of Oriented Gradients)を特徴量とした人物の検出,オプティカルフローを特徴量とした動作の認識・識別が行われています.このような異なった特徴量を使うと,画像処理における計算コストが増大し,実時間性が損なわれてしまいます.一方,我々の技術では,30 [fps]以上の処理速度が達成されており,実時間性を保つことに成功しました.

移動ロボットの自律ナビゲーションに向けた経路・動作計画(2015年~)

移動ロボットの自律ナビゲーションのため,我々は,ロボットの経路および動作計画に注目しています.この研究では,人とロボットの共存をテーマに,動的な環境をターゲットとし,ロボットが人と衝突することなく目的地に向け移動するための技術開発を行っています.

左の図では,ロボットが壁に挟まれた人混みの先に向け移動を行っています.この場合我々人間なら,人混みの中を移動するよりも,壁の外側を迂回します.この急がば回れ的な経路・動作計画の研究に取り組んでいます.また,左下の図が示すように,障害物があるとその後ろは遮蔽領域となり,ロボットも我々もこの領域の情報を知る由がありません.このような状況における人の飛び出しに対しても,衝突することなく移動するための動作計画の研究にも取り組んでいます.

現在,当研究室には環境を3次元で計測することのできる3D LIDARがあり,これをロボットに搭載することで,環境を平面でなく立体的に捉えた経路・動作計画およびナビゲーション技術の開発に取り組んでいます.これまではシミュレーションベースの研究が多かったのですが,理論面の研究がひと段落したので,これからは実証実験に力を入れます.また,今後は屋外にも出ます.

移動ロボットによる知的な警備システム(2012年~)

治安や安全の観点から,ロボティクスの平和利用に向けた研究に取り組んでいます.自律移動ロボットに監視カメラを搭載することで,可動式の監視システムの実現を狙っています.現状の警備ロボットでは,基本,オペレータが設定した場所を監視することしかできません.これに対して我々の研究では,ロボットが警備活動を通じて訪問者や侵入者の傾向を確率情報として特定し,それに基づき監視を行うことに成功しています.

左の写真は,3台のロボットとロボットが持つ警備環境(機械棟4階の廊下を非常階段側からエレベータホールまで約50 [m])の地図を示しています.ロボットは集中管理システムの下,2D LIDARにより自律移動しながらKinect等のカメラにより侵入者を発見することができます.各ロボットの持つ確率情報は無線通信によりホストコンピュータへ送信され,最適な警備ルートがホストコンピュータより各ロボットへ指令されるようになっています.夜な夜な,廊下で動くロボットたちを見つけたら,それは研究の成功だと思ってください.

2020年には日本でオリンピックが開催されます.世界中から多くの人々が日本にやって来ます.そのため,会場付近における安全の確保は,東京五輪成功のカギとなるでしょう.そして,その一翼を担うのがロボティクスや人工知能(Artificial Intelligence)の技術だと信じています.

葉緑体ロボット群のSwarm Intelligence(2014年~)

植物細胞の中には葉緑体があります.ウィキペディアによれば,葉緑体とは,光合成を行う半自律性の細胞小器官だそうです.植物は,光合成により二酸化炭素から酸素を作り出すことができます.そして,葉緑体がその重要な役割を担っているのです.

さて,そんな葉緑体の群れですが,顕微鏡でのぞいて見ると,光合成時に均整の取れた動きをしていることが分かります.光合成のため光に集まり,一方で影からは出ようとする動きをするのです.この葉緑体の運動のメカニズムをロボットの群行動(Swarm Intelligence)にも応用できないかと始めたのがこの研究です.

本学は工学と農学の連携(工農連携)に力を入れており,我々も,バイオサイエンス教育センターの児玉先生と共同で研究を進めているところです.現在は,実機のロボットによる実験を行っています.これが成功すれば,融雪剤の散布や除雪作業,耕作放棄地における芝刈り作業,グラウンドでのとんぼかけ,紛争地帯での地雷除去等に,本群ロボットシステムが活躍できるようになるかもしれません.

指のような機構の脚を有するロボットSHIKYAKU(2012年~)

「被災地や倒壊した建屋内で人の捜索や情報の収集を行うことのできるロボットを作りたい」をモチベーションに始めた研究です.平らな整地だけでなく,ボコボコした不整地でも単純な制御で移動できるロボットの開発を目指しています.「単純」と書いたのは,一般的な脚式や履帯式(クローラ型)でも不整地の移動は可能なのですが,その制御がかなり複雑なものになってしまうからです.

そこで,指の伸展・屈曲機構に基づいたロボットの脚機構を開発しました.我々は,この脚のことを指脚(シキャク)と呼んでいます.造語です.そして,左図に示すような6脚から構成されるSHIKYAKUロボットを製作しました.

SHIKYAKUロボットは,モータの正転・逆転の繰り返しという単純な制御のみで歩行することができます.また,各脚は1個のモータのみで動作します.現在のところ,平地だけでなく,上り・下り斜面,凹凸面での歩行実験にも成功しています.

小型滑空ロボットの開発と自律操舵制御(2012~2016年)

滑空部出身の学生が,「空飛ぶロボットをやりたい」ということで始めたのがこの研究です.無人飛行機UAV(Unmanned Aerial Vehicle)としては,ドローンが一般的ですが,我々は,動力を持たず受動的に滑空するロボットの開発を行っています.左図は,製作したロボットの機体および搭載されるマイコン・センサ,サーボモーター,これらに電力を供給するためのバッテリーを示しています.

動力がないため,小型・軽量化することが可能です.また,燃料が必要ないので長時間飛行することも可能です.ただし,いかにして長時間・長距離を滑空できるかが課題となります.本ロボットには動力がないため,滑空するためには風や気流を利用しなくてはなりません.そこで,自身の姿勢から舵の制御(これを操舵といいます)をロボットが自ら行うための制御系を開発しました.現在では,ファジー推論による受動滑空の研究に取り組んでいます.

飛行機に興味がある,航空工学に興味がある,ものづくりがしたい,飛ぶロボットを作りたい,という方におすすめの研究です.一緒に勉強から始めませんか?

人間とロボットのインタラクション(相互作用)(2013~2015年)

複数台の自律移動ロボットの動作計画に関する研究は,シミュレーションベースで行われているものが大半です.我々はシミュレーションだけでなく,実世界を舞台にした研究を行いたいと考えています.

従来研究の多くは,人間のモデルを仮定し,仮想的な人間に対するロボットの動作計画,すなわち,ロボットの側のみを制御してきました.しかし,現実にはロボットが存在すれば,人間はロボットの影響を受けて動きます.すなわち,両者の間には相互作用の関係が存在しているのです.

そこで本研究では,シミュレーション空間の情報を床面へ投影することにより,疑似的な人間とロボットの仮想空間を構築しました.この結果,左図が示すように,人は目線に入るロボットの影響を受けながら移動し,ロボットも,人間に応じた動きをとることとなります.つまり,人間に対するロボットの制御だけでなく,ロボットによる人間の制御という,双方向の制御が実現するのです.

これまでに,人間の位置,速度,移動方向といった物理的な情報に基づいたロボットの動作計画に関する研究を行ってきました. 当研究室には全方向移動可能なロボットが複数台揃っています.現在,これら実機のロボットを動かすためのソフトウェア開発を行っています.

この他にも,ロボットの群れで人の動きを誘導するための隊列制御の研究に取り組んでいます.また,ロボットの経路計画と動作計画を組み合わせた研究や,センサの死角を考慮したロボットの動作計画に関する研究も昨年より始めました.これらの研究は,必ずや人とロボットの共存に向けた技術的なブレークスルーを生み出すものと考えています.

人の動特性とロボットの混雑を考慮した人工ポテンシャル法(2012~2015年)

移動ロボットの動作計画として用いられている人工ポテンシャル法には,ポテンシャルの極小点における停留問題があります.さらに,ポテンシャルの大きさによって安全性と効率性がトレードオフとなることが問題になります.本研究では,これらの問題を解決しました.

左の図では,人(黄色の円柱)と向かい合って移動するロボット(黒丸)が,回避動作をとっている様子を示しています.人の進行方向に対して,速度に応じたポテンシャルが生成され,このポテンシャルの影響が及ぶ領域において,ロボットは斥力を受け人を回避します.そのため,速く動く人に対しては早めの回避動作を,遅く動く人に対しては近くで回避動作をとっていることが見てとれます.我々はこのポテンシャルのことを動特性ポテンシャルと名付けました.

さらに,左の図は複数のロボット群に対し,ロボット間での衝突を回避するために設けられたポテンシャルを示しています.左側では,単純に各ロボットのポテンシャルを重ね合わせただけであり,多峰性のポテンシャルが生成されています.斥力はポテンシャルの傾斜方向に向かってはたらくため,これではロボットが混雑し,渋滞が発生してしまいます.そこで,空間全体の密度を表現するための混雑緩和ポテンシャルを提案しました.右側では,これにより空間に単峰性のポテンシャルが生成されています.その結果,ロボット群全体で調和のとれた動作が実現されました.

以上,これら二つ,動特性ポテンシャルと混雑緩和ポテンシャルの組合せにより,安全で効率的なロボットの動作計画に成功しました.

実際の人の動きを考慮した動特性ポテンシャルの生成(2012~2015年)

実環境へ動特性ポテンシャルを適用するためには,システム側が人間の動きを計測できる必要があります.そこで本研究では,計測システムを構築しました.

左図では,人間の位置,速度,移動方向が計測され,そのデータから実際の人間に対するポテンシャルが生成されています.これにより,例えば真っ直ぐ歩く人には進行方向へ伸びるポテンシャル,蛇行して歩く人には周囲に広がるポテンシャルが生成され,人間の動きに応じたロボットの動作計画が可能となります.

左の図は,ジグザグ歩行した人間に対して,直進するものと仮定して生成された動特性ポテンシャル(左側)と,実際の動きに応じて生成された動特性ポテンシャル(右側)を示しています.同じ動きの人間に対して,右側では,周囲広範囲に渡りポテンシャルが生成されているのを見てとることができます.

相手が真っ直ぐ歩いているならこちらも真っ直ぐ歩きますが,酔っ払いがフラフラと歩いている場合,距離をあけて歩きますよね.ロボットにも,この人間と同じような動きをさせることが可能なのです.


宇大着任以前

移動ロボット群の渋滞

私は混雑が大嫌いだ!人混みも,交通渋滞も,とにかく大嫌いだ!どうやったら人混みや渋滞が解決するの?ということで始めたのがこの研究です.対象がロボットとなっていますが,主に交通渋滞を解決するためのITS(知的交通システム)を想定して取り組んでいます.

左図は,二か所で交差合流している2つのレーンサーキットを示しています.赤いのは,このサーキットをロボットが数十台走行した際の速度分布を示しています.交差合流付近で速度が著しく低下しているのが見て分かるかと思います.これは,渋滞が発生してしまっているからです.渋滞は,ある空間内に容量以上の物質的占有がなされたときに発生します.交通量が増えると渋滞し,人が増えると混雑するのはそのためです.

ロボットも,例えば生産システムではその効率を上げるため,導入台数の増加が見込まれます.しかし,ロボットが増えれば,早晩,当該システムで渋滞問題が深刻化することが予想されます.そこで,我々は,このロボット渋滞を,速度制御のみにより解消できないかと考えました.

渋滞は,後ろのロボットが前のロボットに追いつき減速→停止する,この現象が後方へ伝播することで形成・拡大されます.そこで,前のロボットが減速した際には,後ろのロボットもそれに応じて減速するモデルを構築することにより,交差・合流においても渋滞を解消し,スムーズな走行を実現することに成功しました.それらの様子を,渋滞が発生している動画渋滞が解消されスムーズな走行が行われている動画でご覧いただけます.ITSに興味のある方へおすすめな研究です.

信頼性工学に基づいたロボットの最適メンテナンス

機械は必ず故障します.故障には,初期故障,偶発故障,摩耗故障の三種類があります.初期故障期では使用にともない故障率は減少し,偶発故障期では一定,摩耗故障期では増加します.これらのことから,故障率は使用期間に応じてバスタブ曲線を描くこととなります.

バスタブ曲線において,初期と偶発故障期に機械のメンテナンスをすることは意味がなく,摩耗故障期を想定したメンテナンスが行われます.使用と時間にともない,左図の点線が示すように機械の故障率は増加します.そして,故障率が増加するにつれ,機械は故障しやすくなります.しかし,故障が発生する前にメンテナンスができれば,故障率は低減し故障を未然に防ぐことができます.これを予防保全(PM: Preventive Maintenance)と言います.一方,故障してしまった機械に対するメンテナンスを事後保全(CM: Corrective Maintenance)と言います.

そこで,信頼性工学に基づきロボットの故障をモデル化しました.これにより,最適,つまり最も高い稼働効率を実現するタイミングでロボットの予防保全を行うことに成功しました.さらに,実際の生産システムに導入されているロボットを題材とし,予防保全と事後保全を適用し,故障発生時にはロボットの制御モデルを通常時とハイブリッドに切り替えることで,可能な限りシステムを稼働させることにも成功しています.こちらからその動画がご覧いただけます.

化学プラントのパイプレス化に向けたロボットによる作業代替

化学プラントでは,材料や製品が配管(パイプ)を通じて連続的に処理されています.ただし,これでは製品切り替え時における配管内でのコンタミネーション(異物混入)が問題となります.そのため,配管の清掃が行われるのですが,我々は,これら連続的な作業を,ロボットによるバッチ方式へと変えました.バッチ処理とは,レシピに基づき,工程毎に区切られた作業を実行する生産方式です.

レシピを実行するのは,各工程におけるロボットと,その工程間をつなぐロボットです.後者のロボットにより配管をなくすこと(パイプレス化)に成功しました.そして,材料・製品を搬送するロボットが,左の図の経路上を縦横無尽に走行することで,配管を使うのに負けずとも劣らない生産効率を実現しました.

この研究におけるもう一つの問題は,ボトルネックです.左図のような循環型レイアウトの場合,最も作業の遅い工程が,全体の生産効率を支配することとなります.また,ボトルネックは,ある部分で解消されても別の場所に移動するため,絶えず存在することとなります.したがって,このボトルネックでの生産性が,プラントの要求仕様を満たすよう設計と運用を行わなくてはなりません.


港湾コンテナターミナルの自動化に向けた荷役・搬送機械の協調制御

港湾コンテナターミナルにおける荷役・搬送作業は,集中管理で人の手により管理されています.日本の港湾業の国際的な競争力を増すためには,24時間体制での操業,そのための作業の自動化が求められています.ちなみに,アジアではシンガポール,ヨーロッパではドイツやオランダにて,すでに自動コンテナターミナルの操業が実現しています.

そこで,AGV(無人搬送車)と自走式門型クレーンを導入し,それらが互いに協調し,さらに,港湾~陸でのコンテナ輸送を担うシャーシトラックと連携した制御方法を開発しました.

さらに,荷役・搬送タスク(ジョブ)のディスパッチングルールも開発し,これらの有効性をシミュレーションにより示しました.


港湾コンテナターミナルの設計と運用のための方法論

これは,星野が東京大学の博士課程にて太田研究室に所属しながら3年間取り組んだ研究です.

従来の港湾では,一定台数のコンテナ搬送車や荷役(にやく)クレーンが使用されていました.しかしながら,入港するコンテナ船の容量に応じて,これらの数を動的かつ最適に決定することができれば,運用コストを削減することができます.そこで,待ち行列ネットワーク理論により荷役・搬送作業をモデル化し,スループットを制約条件とした搬送車とクレーンの最適台数設計を行いました.

ロボットビジョンとしてのズーム計測法

これは,星野が宇都宮大学にて,4年生~修士課程の3年で間取り組んだ研究です.当時,私は尾崎先生の下でロボットビジョンの研究に従事しておりました.

この研究では,単眼(1つの)カメラを用いた対象物の計測を行いました.具体的には,画像による三次元計測に必要な視差を,ステレオ計測のように2つのカメラから得られた画像ではなく,カメラのズーム機能により見え方の異なる2つの画像を取得します.あとはステレオ計測同様,三角測量の原理に基づき対象点を計測します.ズームの最中,対象点を連続的にトラッキングすることで,ステレオ計測における対応点問題を解決することに成功しました.

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