
図5-1 米国でのクリーン自動車の導入計画 (ref. 1)
図5-2のエネルギー源別のCo2排出量を見ると、石油から排出割合が一番大き い。日本国内では、平成元年でも車の保有台数は5500万台(二輪車、小型貨物 車、普通貨物車、バス、乗用車、軽乗用車)を突破しており<東京湾沿岸地域 のNo2の濃度分布の推移を見ても確実に悪化している。
自動車公害を防止する為には、発生源対策、道路構造対策、沿道対策が大き くあげられる。発生源対策では、自動車の単体規制に代表されるように、自動 車構造の改善により、騒音・振動や排気ガスの発生を押さえようとするもので ある。大気汚染は排ガス規制により行われてきたが、今後の飛躍的改善は困難 である。そこで、低公害エンジンの導入などを国内においてもクリーン自動車 を一刻も早く本格導入に入らざるを得ない状況にあることが言える。

図5-2 エネルギー源別のCo2排出構成比 (ref. 2)
現在自動車を更にクリーンなものとするため、色々なアイデアで研究されて いる。主なクリーン自動車としては表5-1のようなものがある。
表5-1 クリーン自動車の種類 (ref. 2)

10年前には来世紀の技術とさえ言われていた水素自動車はもう既にプロトタ イプカーとして、実験走行に入るに至っているし、究極のクリーン自動車と言 われるソーラーカーも高効率低コストの太陽電池が開発されるにつれ、その研 究開発も益々熱を帯びてきて、国内外では、ソーラーカー・レースが盛んなっ てきている。
5-1 電気自動車(バッテリーカー)
5-1-1 電気自動車とは
電気自動車は、蓄電池(バッテリー)に蓄えられた電気でモーターを回転させ
て走る自動車である。本体はエンジン自動車とかなりのところ似かよっている
し、運転の方法や使用 目的や用途もほぼ同じである。
電気自動車の歴史はガソリン車と同じに十九世紀にの終わりまで遡る。当時 はガソリン車に比べ電気自動車はスピードは速かった。二十世紀に入るとエン ジンの技術が進歩したことに引きかえ、電池の性能向上が停滞し電気自動車は 急激に衰退した。

図5-3 1922年型デトロイト・エレクトリック電気自動車 (ref. 7)
日本では、公害問題が騒がれた昭和40年代に入ってから、自動車の排気ガス 問題が発端となり、自動車各社が競って開発を始めた。昭和46年から昭和51年 までの6年間は通産省の大型工業技術開発制度により5億円が投入され、自動車 各社より13車種が開発された。最高時速80Km/h、定速走行40Km/hにおける一充 電速度距離455Kmという記録を出した。
従来の内燃式自動車に比べ動力がモーターなので構造がシンプルであり、走 行騒音がガソリン車の数分の一のレベルまで減少できる。また、石油系の燃料 を使用しないため、エネルギーの代替にも寄与している。そして、ZEV (Zero Emission Vehicle)と言われるように電機自動車からの排出ガスが一切 なく、地球温暖化対策にも有効である。
環境問題の対策により環境庁では、平成三年度からは地方公共団体が電気自 動車を購入する際にその半額を補助する制度を設け、132台が導入された。通 産省では、電気自動車の高性能化には電池の高性能化が重要であるとの観点か ら、新エネルギー開発機構(NEDO)を通じて各種の電池、太陽電池、燃料電池の 新しいエネルギーの開発に力を入れた。通産省では平成三年秋に西暦2000年ま でに20万台の電気自動車を普及させるという「電気自動車普及計画」を策定し た。普及計画の概略を表5-2に示す。
表5-2 電気自動車の普及計画(平成3年10月、電気自動車協議会電気自動車普及計画書より)
(ref. 2)

現在の利用状況は、定距離の配送用トラックや工場の構内とかごみ収集車、 またトンネル内での使用が盛んになってきた。
5-1-2 現在の普及例
普及型として市販のための本格開発体制に入り、富士重工業より同社初の電
気自動車を関東地区の限定であるが発売した。軽ワンボックスカーの「サンバー」
をベースに、8時間の充電で約150Kmの走行が可能。最高速度は時速90Kmでシー
ル型バッテリィーを採 用している。価格は、ベース車の約3倍でバンSDXタ
イプのクーラー付きが299万円。

図5-4 市販の電気自動車(SUBARU Sambar EV)1995年5月発売 (ref. ?)
表5-3 SUBARU SAMBAR EV の諸元 (ref. 9)
主要諸元 定価 299万円 (1995.5月現在) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 乗車定員 :2名(4名) | バッテリー出力電圧 :120V 車型 :1ボックスバン | バッテリー総重量 :400Kg 全長×全幅×全高 :3295×1395×1885mm| バッテリー容量 :150Ah/5HR/12V ホイールベース :1880mm | 充電方式 :200V充電 重量 :1340Kg | タイヤ :145R12-6PR モーター :直流直巻、14KW×1 | 最高速度 :90Km/h バッテリー形式 :鉛蓄電池 (10個) | 一充電走行距離 :150Km
ある放電率での電流と電圧をかけた値が、電池から取り出せるパワーで、こ のパワーを放電の最初から終わりまで時間的に積算した値がこの電池の電力容 量となる。

図5-5 各種の電池性能 (ref. 7)
図5-5でエネルギー密度とは電池重量あるいは容積当たりの電力容量をいう。 単位はWh/Kgで表す。エネルギー密度は温度、放電率、新品度によって異なる。 電気自動車では、重量当たりの容量で示すことが多く、一充電の走行距離で決 める。
パワー密度とは、電池の重量あるいは容積当たりに取り出すことができる最 大の電力量を呼んでいる。ここでは重量当たりで示すことが多く、単位はW/Kg である。パワー密度は温度、放電深度、放電の持続時間、新品度などにより変 化する。電気自動車の高性能化のためには、パワー密度は高く、内部抵抗低く 単位電気伝導度は大きいほどよい。
電気自動車用電池の種類は、鉛、Ni-Cd(働仰、Ni-Fe(働郊-鉄)、Ni-Zn(働郊- 亜鉛)、Ni-H2(働郊-水素)、Zn-Air(亜鉛-空気)、Fe-Air(鉄-空気)、Zn-Br(亜 鉛-臭素)、Na-S(椿角-硫黄)、Na-NiCl(賞勿、リチウム、電気二重層などがあ る。これらのうちこの時点で可能性のある電池として鉛、働仰ANi-H2、Ni-Zn、 Na-S、ゼブラなどがある。
2)充電システム
ガソリン車のスタンドと同様に電気自動車は電池への充電システムが必要で
ある。それは、電気自動車の性能によって充電ステーション配置場所などが異
なってくる。市街地走行ならば、ある間隔(一充電200Km走行可能な自動車なら
約200Km)をおいて設置し、自家用車なら夜間充電と併用できる。
充電方法としては、急速充電よりある程度時間を掛けて行ったほうが寿命が 長いが、最近鉛電池でも電極を太くし内部抵抗を小さくして、急速充電に耐え られるようにしたものがある。長距離走行の場合で充電システムが無いとき、 補助電池を車に積み込むか、トレーラーでけん引する方法がある。充電済みの 電池と交換する方法もある。自動車にエンジンの発電器を搭載して、補助的に 電気を供給する方法もある。また、電池のレンタル式も考えられる。
電池は(イオンに分離しやすい電解質の溶液に異なった二つの金属を浸すと、 両者の間に電位差が生じる)放電するだけでなく、外部から逆方向の電気エネ ルギーを加えると、内部の状態が復元され充電ができる。

図5-6 充電時の特性(鉛電池の例) (ref. 7)
図5-6は、一定電流で充電する場合、端子電圧は電池の起電力より高い値を 示す。充電が終わると電解液が電気分解され極板表面の化学反応が遅れて、電 圧は急上昇する。また、充電が終わり近くになると、水素ガスが発生する。
5-1-4 モーターについて
電気自動車は速度や負荷に応じて、モーターの回転数と駆動力を変化させる。
これらの役目をするのがコントローラーによって適正にコントロールできるモー
ターである。
電流の種類 界磁の種類
+−直巻式
+−巻線式−+−分巻式
直流モータ−+ +−複巻式
+−永久磁石式
+−誘導式
交流モータ−+
+−同期式−−ブラシレスDC式
直流直巻モータは、界磁に電機子と同じ電流が流れるため他のモータに比べ
て効率がいくぶん落ちる。また、電流方向を変えても回転方向は逆転しない。
したがって、車の場合、後退する場合はトランスミッションを用いるか、電機
子電流方向を変えるスイッチが必要となる。直流分巻モータは、分巻モータの回転数とトルクの関係は回転数に対して直 線的にトルクが小さいため、直巻モータに比べて回転数の範囲は狭い。電機子 または界磁にかける電圧の方向を変えるだけで逆転が可能である。現在の市販 の電気自動車用モータの主流は分巻モータである。
交流誘導モータは、構造が簡単でブラシの取り替えもいらない。回転力は、 電機子の作る磁場を回転すさせると回転子に誘導電流が流れ、フレミングの法 則により回転力を得る。誘導モータの効率をよくするため、回転磁場の位置と 回転子の位置を検知し、最適のタイミングで各極に電流を流す制御をコンピュー タで行う。
ブラシレスDCモータは、基本構成は交流マグネットモータと同様だが、4個 の固定子コイルに流すのは直流電流で、それをローター位置に応じて切り替え 回転磁界を作る。チョッパーで直流電流の大きさを変え、固定子コイルに電流 を送るタイミングと方向の切り換えは、別のスイッチイング素子で行う。

図5-7 ブラシレス・マグネットモータ制御装置 (ref. 7)
5-2 ハイブリッドカー
ハイブリッドカー(Higrid Erectric Vehicle)の開発の背景には、車のエン
ジンからの排出ガス及び燃費の改善と、EVの走行性能改善の二つの側面から
計られた。最近のエレクトロニクスの進歩により、エンジンも従来以上に細か
い制御が可能となり改善が進んでいるが、大幅な改善には限界がある。また、
EVもパワーエレクトロニクスの進展により少しずつ性能が向上しているもの
の、一番重要な高性能二次電池の開発がいまだに研究レベルにありEV開発が
熟成されるには長期間が必要である。そのため今後は、排出ガス低減、燃費の
向上を両立させるのにHEVが有効な手段として今後は各方面で開発が進めら
れると考えられる。

図5-8 エンジンとモーターの連結方法 (ref. 7)
近未来の動向として、エンジンは発電用としてだけ使われ、それで作られた 電力でバッテリーを充電し、モーターの出力走行とするシリーズ型ハイブリッ ドカーのシステムと、小型エンジンとモーターの両方が駆動系に連結され、走 行状況に応じて使い分けるパラレル型ハイブリッドカーのシステムの二つが主 体となって開発されると考えられる。
図5-8に概略を示す。シリーズ型は、エンジンは定常運転になるので排気浄 化や騒音の対策はしやすい。市街地で使う中大型車の公害対策には有効である。 パラレル型では市街地ではモーターで走行し、郊外ではエンジンで走り航続距 離を伸ばすとか、加速時にモーターを補助動力に使うなどの組み合わせがある。 しかし、いずれにしても重量、コストが増加したり、システムが複雑になった りする欠点があり、開発に当たっては目的、用途を十分に検討する必要がある。
5-3 ソーラーカー
太陽光を利用して走行するソーラーカーはクリーンと枯渇のないエネルギー
使用という最も優れた自動車として注目を浴びている。○○○○に研究開発や
普及の現状と製作の手順を述べる。